20~30代が中心の街、中野区。若者が集まるその理由を探ってみると・・・?

新宿から電車で西に向かい約5分。東京の中心地のすぐひざ元に位置する中野区。

中心にはJR中央線、北部には西武新宿線、南部には東京メトロ丸の内線が2系統はしり、すべて新宿駅を経由しています。
唯一、東京メトロ東西線のみ新宿駅から離れていますが、落合や神楽坂など新宿区の北部をとおり、大手町を経由、千葉県の西船橋まで伸びています。
運賃が安いため、千葉方面から中野に抜ける場合、この路線を使う人も見られます。

このように、東京の歓楽街・商業エリアの中心地・新宿区に隣接し、ほぼすべての路線が新宿に通じている中野区は、どのような姿なのでしょうか。

人口密度No.1の中野区

中野区の面積・人口を見てみますと、面積は約15.59K㎡で23区中14位、人口は32.1万人で同13位。
ともに23区の中では中位からやや下の数値となっており、取り立てて特徴は見られません。
新宿の隣に位置する割に、意外に人口も少ない印象です。

しかし、人口密度で見てみると、その印象はガラッと変わります。
1平方キロあたりの人口は2万人を超え、豊島区に続き2位。下町の人口密集地、荒川区や墨田区、台東区を超える人口密度となっています。
23区の平均人口密度が1万4000人程度ですから、その密集具合はとびぬけています。

なぜ中野区がこのような人口密集地帯になったのでしょうか?

木賃ベルト地帯

中野区は、山手線の西の端から環状7号線に位置しています。この地域は、かつて「木賃ベルト地帯」と呼ばれ、多くの単身労働者を吸収していた地区でした。

戦後の高度成長期になると、東京は都市基盤整備のため大規模な公共工事、建設ラッシュが始まりました。
もちろん、東京近辺の労働者だけでは人員が圧倒的に足りず、多数の地方労働者が東京に流入することになります。

ここで問題となるのは、流入した労働者の住居です。
公共住宅では全く足りず、民間による労働者向けの木造アパートが雨後の筍のように建設されることになりました。
これが、いわゆる「木賃アパート」と呼ばれるアパートで、都内の街歩きをしていると、裏路地でごく稀に出会う、飾り気のない木造のの古びたアパートがそれにあたります。
そしてこの「木賃アパート」が大量に建てられた地区を「木賃ベルト地帯」と呼ばれ、その中に中野区のほぼ全域がおさまっています。

高度成長期に中野区は人口が密集し、今でも狭い路地と家賃の安価なアパートが建ち並ぶ様子は当時の面影をそのまま残しているのです。

意外にも、若者比率がNo.1

木賃ベルト地帯というと、そのまま定住した労働者が高齢化し、高齢化が著しい区と想像されませんか?

ところが、中野区はそれとは逆の現象が起きています。老齢世帯が意外に低く、男性・女性とも20歳~34歳男女の人口比率が高く、23区中No.1の比率となっているのです。
さらに、世帯構成人数は「1人」が6割を占め、新宿区に次いで高い割合を占めています。
若者の単身世帯がこれだけ多い、ということは、若者だけでなくその未婚率も高いということ。
そして流動性も高く、「結婚・出産などで世帯構成人数が増えると、中野を出ていく」という傾向が見えてきます。

高齢化した労働者が定住しなかった理由は、まさに「木賃アパート」の存在です。
木賃アパートは、入れ替わり立ち代わり労働者が出入りするアパートです。そのまま定住することはほとんどありません。
仕事が変われば別の場所に移動し、また郷里に帰るなどして、常に人の流動がある住居形態です。
そのため定住者が少なく、入れ替わり立ち代わり居住人が交代していたのです。

その後東京の開発が一段落し、木賃アパートを建て替えた際に出来上がったのが、現在見られるアパート群でした。
多くはワンルームや1k、広くても2DK程度で、単身者やカップルにちょうど良い広さで建て替えられました。
これらのアパートは、家賃も東京23区内のJR路線沿いでは比較的安く、およそ2/3程度の家賃で設定されています。
もっとも駅から遠いエリアでも、15分も歩けば電車駅があり、またバス路線も充実。
このような街が形成されたことにより、多くの単身者が住む街となったのです。

サブカル。オタク文化。若者が文化を支える区

このように20~34歳の男女が多く住み、単身世帯の割合が高い区、中野区。
自然に若者文化が成熟され、それらの年齢層や現代を映し出す店舗が集中しています。
中野区の中心、JR中野駅北口にはサブカルチャーの発信地「中野ブロードウェイ」があり、東中野には社会問題やマニアックな映画上映で有名な「ポレポレ東中野」が。
中心街から離れれば、細い路地に住宅街、そして細く伸びる商店街が姿を現し、いま30代~40代後半くらいの人たちに人気の、裏道散策も楽しめます。

住人の流動性が高く、若者の単身者が人口構成の多くを占める中野区。

次回は、2回にわたって実際に散策し、中野区の様々な姿を見てみることにしましょう。

test エディター:津倉 深根雄
Web業界(主にEC業界)に十数年身を置いていた、モータースポーツ大好きなフリーライター。
夫婦でシクロツーリスト(自転車旅人間)。新婚旅行は本州~九州縦断の自転車旅。
この時、「人の心を動かすのは、サービス内容や集団ではなく、人のキャラクターとの触れ合い」なことを悟る。